夏場は葉物や根菜類が育ちにくい季節です。
コマツナや大根、カブなどは、アブラナ科に属しますが、
アブラナ科は非常に害虫が多く、
虫食いだらけになってしまいます。
農薬や防虫ネットをすればよいかと言うと
そうでもありません。
農薬は雨で流れてしまう事が多く、
夏場の集中豪雨や夕立などの後、
気温があがって害虫がたくさん発生する場合には、
効果は限定的です。
また、防虫ネットも育ってきた葉を
上から押さえつける形になるので、
葉と葉が密着しやすくなります。
そこに雨水がたまると、葉が蒸れて腐ってしまいます。
このように、夏場は葉物・根菜類を育てにくい条件が多く、
夏場の供給は、高原や北海道など、
寒冷地からがほとんどです。
そんな中、こお8月、サラダ系の小型ダイコンを育ててみる事にしました。
虫に食べられやすいアブラナ科野菜ですが、
実は、イソチオシアネートと言う防御物質を持っています。
ダイコンオロシの辛味成分は実はイソチオシアネートです。
冬場に採れる煮物系のダイコンが甘いのは、
光合成でできた糖分を根に転流し、
糖の甘さで辛さをカバーしているからです。
夏場に煮物系のダイコンを育てると、
葉だけでなく、根まで害虫の標的になりやすいのですが、
おそらく、虫からみても、煮物系ダイコンの根は甘くて美味しいのでしょう。
逆に言うと、煮物系のようにあまり太く大きくならない品種のダイコンは、
防御物質である辛味成分があまり糖でカバーされていません。
ですから、サラダ系やオロシ系のダイコンの方が、
虫に食べられにくいと思われます。
そこで、8月初旬、サラダ系のダイコンを種まきして見ました。
超猛暑で土が乾いていたせいか、
発芽は通常より1-2週間ほど遅れましたが、
その後の生育は順調。
9月に入ると、葉が大きく育ってきました。
とても柔らかそうな葉です。
もしかしたら、葉もサラダに使えるかもしれない、
そんな期待が膨らみました。
先述したように、育ってきた葉がネットで圧迫されたところに
秋雨の雨が入り込むと、葉が腐ってしまう可能性があります。
そこでネットを外し、1-3週置いているうちに、
今度は根が少しづつ太ってきました。
よし、少し間引き菜を出荷してみようと思っていたら、
根が1センチほどになってから1週間、2-3センチ台に太ってきた頃、
葉は固くなり、かなり虫に食べられてしまいました。
根も表面は虫に食べられています。
しかたがないなぁと間引きではなく、
全部を抜き取り、
虫食いだらけとなった葉を落として、
根だけを洗って、お客さんにお届けしました。
やっぱり、夏場にダイコンを育てようと言う方が無理なのかなぁと
落胆したのですが、
考えているうちに、これはこれで可能性があるのではと気づきました。
まず、超猛暑で土が乾き発芽遅れがあったことを割り引くと、
実質1ヶ月以内で葉が育っています。
ほぼコマツナと遜色ありません。
同時期に種まきしたコマツナは、葉が育ってきた段階で虫食いだらけになっていましたが、
サラダ系ダイコンの葉は、その時点ではそうでもなく、
防虫ネットを外した後も1週間前後は、あまり虫に食べられていませんでした。
また、葉も柔らかそうな様子をしていました。
すると、夏場に「葉物」としてサラダ系のミニ・ミディサイズ大根を育ててみるのは
「アリ」と言う気がしてきました。
大根は、普通25~30センチ間隔、葉物は15センチぐらいの間隔で種まきします。
葉物なみに狭い間隔でサラダ系ミニ・ミディ大根の種まきをして、
葉が育ってきたら、「間引く」ような感じで、
収穫してしまい、
30センチおきに一つづつ苗を残すようにする、
この時、収穫した葉は葉として、お客さんにお届けする。
残った苗は、根を太らせる方向に持っていき、
葉に虫食いが多くなれば、
葉を落として、根の部分だけを洗って
お客さんにお届けする。
こういう風にすれば、
夏場、葉物が不足する時季にお届けできる葉菜アイテムとして、
活用できるのではないか、
そう考えるようになりました。
来年の夏は、サラダ系ミニ・ミディ大根葉の
栽培に取り組みたいと思います。